将来のために備える資産運用 保険での運用~外貨建て終身VS変額保険~
資産運用と言えば、株式投資や不動産投資をイメージされる方が多いかもしれませんが、そういった投資には知識や元手となる資金が必要になります。
そのため、「難しそう、手間がかかりそう」といった不安を抱かれる方は、気軽に運用できる「保険での資産運用」をご検討されてはいかがでしょうか。
この記事では、保険での資産運用の中でも、「外貨建て保険と変額保険での資産運用」について、詳しく解説します。
目次
保険で資産運用は可能?
保険といえば、ケガや病気、死亡時など、「万が一の時に備えるもの」というイメージが強く、保険で資産運用をするというイメージがない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、保険の種類によっては資産運用ができるものもあります。
保険に加入すると、毎月保険料を支払います。
万が一の時、その保険料に応じた保障を受けられるのですが、中には保険料の一部を貯蓄・運用する保険もあります。
そのような保険には、“満期”があります。
満期を迎えると、それまでに支払った保険料に応じた満期保険金が受け取れるのです。
また、満期を迎える前に解約した場合は、一定期間を過ぎていれば解約払戻金が支払われます。
その際に、支払った保険料に対してどのくらい払い戻しがされるのか、ということを示す「返戻率」というものがあります。
この返戻率が100%を超えていれば、支払った金額よりも多く戻ってくるのです。
保険で資産運用する場合、このような保険に加入する必要があります。
このような保険を貯蓄型保険といいますが、その中でも特に注目したいのが、外貨建て保険と変額保険です。
外貨建て保険とは
日本以外の貨幣、つまり、外貨に両替したうえで資産運用する保険を、外貨建て保険といいます。
保険料は基本的に日本円で支払うことができますが、外貨換算で支払うことになります。
例えば、ドル建ての保険で保険料が毎月100ドルの場合、1ドル105円の時は10,500円支払うことになります。
1ドル95円の時は、支払い額は9,500円です。
そして、満期保険金などもその時の為替レートに応じた金額に両替されて支払われます。
そのため、自分で両替する必要はありません。
外貨建て保険のメリット
外貨建て保険は、外貨での運用なのでその国の金利の影響を受けます。
日本の金利(政策金利)は現在(2020年12月時点)、-0.1%と世界的に見ても超低金利です。
今回のコロナショックを受け、多くの国が景気刺激策として金融緩和を行いました。
そのため、先進国を中心に金利は低い傾向にありますが、それでも、スイスなど一部の国を除き、日本円より高い金利で運用できます。
保有する国の政策金利が日本と同じ値でなければ、その国の通貨を保有するだけで、金利差が生まれます。
日本よりも高金利の国の通貨であれば、運用をするうえでも利益が得やすくなるのです。
ただ銀行に預けておくだけでも、多少の利益を得られるでしょう。
利益を得やすいということは、少ない資金で目標金額を達成できるということです。
そのため、外貨建て保険は保険料が割安になるというメリットがあります。
外貨建て保険のデメリット
デメリットとなるのは、為替レートの変動です。
毎月支払う保険料や満期の際に受け取る保険金、あるいは中途解約時の解約返戻金など、そのすべてが為替レートの影響を受けます。
例えば、解約返戻金として1万ドルを受け取るとしても、それが1ドル100円のときと110円のときでは、10万円の差が出てしまいます。
今回のコロナショックでは、2020年2月21日に1ドル112円台だったドル円の為替レートが、3月9日には1ドル102円台と、わずか2週間ほどで10円も円高が進行しています。
また、2016年6月24日には、英国のEU離脱が確実になったため、ドル円は1日に4円も円高が進行しました。
このように、為替レートは政治動向や経済動向、また、戦争などが発生することで、短期間で大暴騰・大暴落することもあり得ることに注意が必要です。
この為替レートの違いは、保険料の支払い時にも適用されます。
例えば、保険料を支払っている期間の為替レートの平均が120円で、保険金を受け取る際の為替レートが100円ということも十分に考えられるのです。
例え返戻率が100%を超えていても、為替レート次第ではマイナスとなることもあるでしょう。
また、両替の際に為替手数料がかかります。
毎月の保険料の支払いや、解約返戻金や満期保険金の受け取りなど、外貨から日本円に両替する必要があるときは毎回手数料がかかるので、その分のコストも考えなければいけません。
変額保険とは
保険の中には、満期を迎えると満期保険金が支払われるものや、中途解約時に解約返戻金が支払われるものがあります。
その中に、保険会社が保険料を運用して利益が得られた場合、その利益の一部を満期保険金や解約返戻金に加算して支払うというタイプのものがあります。
このような保険は、変額保険といわれます。
いうなれば、保険料という形で投資する投資信託のようなものです。
変額保険には、変額終身保険や変額有期保険、変額個人年金保険などがあります。
変額保険のメリット
変額保険のメリットとしてまず挙げられるのは、運用実績が良好であれば満期保険金や解約返戻金が増えるという点です。
例えば、本来100万円のところ、110万円受け取れるようになるかもしれません。
これは、死亡時に保険金を受け取れる場合は、その死亡保険金にも適用されます。
インフレ時に運用実績が良好で受け取れる保険金が増えた場合は、インフレ対策にもなります。
また、変額保険は通常の定額保険よりも保険料が割安です。
死亡保険金の額が最低限保証されるため、どれだけ運用成績が悪くてもそれを下回ることはありません。
さらに、生命保険料控除の枠が使えるので、節税効果もあります。
変額保険のデメリット
変額保険は、運用実績が良ければ受け取れる金額が増える反面、悪ければ受け取れる金額は減ってしまいます。
中には元本割れしてしまうケースもあるので、必ず増えるわけではない、ということを念頭に置く必要があります。
また、変額保険の場合、死亡保険金は最低保証されますが、解約返戻金や満期保険金には最低保証はありません。
短期間で解約すると返戻率が低く、払込保険料を大幅に下回る場合もあります。
解約時には経過年数に応じて解約時の資産残高から解約控除費用が差し引かれることにも注意が必要です。
さらに、運用期間中、保険関連費用と資産運用関係費などのコストも発生します。
保険で資産運用をするのに向いているのはこんな方
保険で資産運用をするのに向いているのは、以下のような特徴にあてはまる方です。
・リスクをできるだけ抑えて資産運用をしたい方
・資金がいつ必要になるか決まっているという方
・資産運用の初心者の方
・貯金が苦手な方
保険での資産運用も、リスクはゼロではありません。
貯蓄性のある保険であっても、一定年数が経過する前に解約した場合、解約返戻金が払い込んだ額より少なくなることもあるので注意が必要です。
一定年数を経過した後なら、株や投資信託などの元本が保証されない投資商品よりも、リスクは少なくなります。
そのため、なるべくリスクを避けたいという人に保険での資産運用はおすすめです。
また、保険で資産運用する場合は、満期が決まっています。
そのため、資金が必要になる時期が決まっている場合は、そのタイミングに合わせて満期を設定するとよいでしょう。
通常の保険と同じく、毎月保険料を支払っていれば保険会社が運用するので、投資や資産運用の初心者でも心配ありません。
そして、毎月引き落とされて解約しない限りは自動的に貯蓄されていくので、貯金が苦手で長続きしない方にもおすすめです。
まとめ
保険で資産運用をする場合、外貨建て保険や変額保険は大きなメリットがあります。
しかし、デメリットも少なくないので、よく考えて契約しなければ損をしてしまう場合もあります。
メリットだけでなく、デメリットもよく確認し、理解したうえで契約しましょう。
文責:宮野 岳
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