改正によって自己負担が増加!
後期高齢者医療制度について紹介します。
高齢者の医療負担を軽減するために導入されているのが高齢者医療制度です。
中でも75歳以上の高齢者は後期高齢者医療制度として、より少ない医療費負担となっています。
この後期高齢者医療制度ですが、2022年度から一部の高齢者を対象として自己負担が1割から2割へ引き上げられ、医療費負担の増加が懸念されるようになりました。
今回の記事では、改正された後期高齢者医療制度について、対象となる高齢者や改正の背景も交えながら解説します。
後期高齢者医療制度とは
今、私たち日本人は「国民皆保険」と言って、国民全員が何らかの健康保険に加入することを前提とした制度になっています。
医療機関を受診する際に提示する「健康保険証」が加入の証明です。
後期高齢者医療制度とは、この健康保険の1つのことで、75歳以上の方が加入する保険制度のことです。
この「後期高齢者医療制度」に基づき、75歳以上の方は医療機関の窓口での自己負担額が「1割」となります。
後期高齢者医療制度は
〇74歳以下の方の保険料よりも安く設定されている(収入、住居地域により金額が異なる)
〇医療機関での窓口負担が原則1割である(70歳未満は3割、70~74歳は原則2割負担)
この2点が大きな特徴となっています。(2022年4月現在)
参照:医療費の自己負担 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-37.html
改正で変更された内容
この後期高齢者医療制度が2022年10月より改正されることになりました。
75歳以上で、年収370万円未満の方は、医療機関窓口で支払う際の自己負担額は原則1割、それ以上の収入のある方は3割負担とされていました。
それが、2022年10月より、本人年収200万円以上の方の窓口自己負担額が2割になることが決まりました。
それに付随し、急激な医療費負担増を避けるため、2022年から2025年までの3年間、窓口負担の増加額は月額最大3,000円までとなりました。
例えば、これまで毎月受診が必要な方の窓口負担額が月5,000円だった場合、2割負担となると月1万円の負担となります。
ですが、2025年までは増加額は最大3,000円までとすることが決まっているので、月々の負担額は8,000円となります。
参照:後期高齢者医療における窓口負担割合の見直し 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000720039.pdf
後期高齢者医療制度の仕組み
そもそも後期高齢者医療制度はどのような仕組みになっているのでしょうか。
後期高齢者制度では、
5割:公費(国:都道府県:市町村=4:1:1)
4割:後期高齢者支援金(74歳以下の全国民が負担)
1割:後期高齢者の保険料
このような割合で医療費を負担しています。
但し、現役並みの収入のある方は、公費負担率や後期高齢者支援金率が変わってくるため、保険料が上がってくることになります。
参照:後期高齢者医療制度等の仕組み 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-26.html
改正後の高齢者医療制度で負担が倍になる?
1割負担が2割負担になる。つまりこれまでの医療費が倍になるということなのか。
そう思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうとも言えません。
前述のとおり、2025年までの特例措置の間は、月の医療費の支払いが3,000円以下である方は、2割負担となり、負担は倍となります。
しかし、月の医療費が3,000円超だった方の負担の増加額が、3,000円以上になることはありません。
また、高額療養費制度といって、月々の医療費の負担上限額も決められているため、今回2割負担となる年収200万円以上の方も、外来での自己負担額は月1万8,000円が上限となります。(年収約370万円までの方)
参照:高額療養費制度を利用される皆様へ 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
医療費負担の軽減に保険という選択肢
医療費の負担が倍額になるわけではないとはいっても、医療費が家計を圧迫してくる可能性は否定できません。
未来の自分の健康を約束してくれるものはないため、不安に感じる方もいらっしゃると思います。
そんな時のために、民間の医療保険を検討してみてはいかがでしょうか。
1年契約の保険もあり、保険料を抑えながら、月々の医療費を抑える方法もあります。
80代になってから加入できる保険もありますし、早い時期に加入することで、月々の保険料負担を減らしつつ、将来の家計への安心材料にすることもできます。
まとめ
75歳以上の方にとっては、大きな変化を生む可能性がある今回の改正。
2025年10月までは特例措置もありますが、それまでの間に準備をしておくのが肝要です。
ご自身の家計ではどのような準備ができそうか、保険代理店の窓口などで相談することをオススメします。
執筆者:ファイナンシャルプランナー 二戸 由紀子
関連リンク
文責:株式会社 エムアイカード