所得補償保険って必要?所得補償保険について解説します。
急な事故や病気で長期間働けなくなった時、社会保険に加入しているとしたら2/3の給与が補償されますが、これがもし非正規雇用で社会保険の加入がされていない方だったら、給与の補償がないので一切収入がなくなってしまいます。
そういった場合に給与が補償されるのが所得補償保険です。
非正規雇用の方ももちろんですが、正規雇用の方には社会保険にプラスして手厚い補償が受けられるのでおすすめです。
今回はそんな所得補償保険について紹介します。
所得補償保険とは
「所得補償保険」とは正規・非正規に関わらず給与を得ている方や自営業の方など、働いて収入(所得)を得ている方が「病気やケガで働けなかった場合」の収入減をカバーする保険のことです。
あくまでも所得の補償なので、ご自身のもともとの収入を超える金額設定にはできませんが「病気」や「ケガ」が原因で働くことができなくなった場合に、所得の減少部分が契約の範囲内で補償され、毎月のお給料のように受け取ることができる保険になります。
補償の期間内(1年~5年など、契約内容による)は、働けない間、ずっと保険金を受け取れるため、治療が長引いても金銭的な不安に囚われることなく治療に専念したり、ご家族の生活費としたりと、使い道に制限なく自由に活用いただけます。
尚、所得補償保険の補償の対象となるのは、給与所得、事業所得または原稿料等の雑所得などの働いて得られる勤労所得のみとなり、利子所得、配当所得、不動産所得などの不労所得や就労の有無に関わらず得られる役員報酬などは、基本的に補償の対象外となります。
所得保険とその他の保険との違い
所得補償保険と他の医療保険や傷害保険とは何が違うのでしょうか?
医療保険や傷害保険は、「入院したら…」「通院したら…」という条件の元、一定の給付金が受け取れる仕組みになっています。基本的には、入院中は毎日、給付金の対象となります。しかし、その後退院し、自宅療養をしながら通院する場合、通院が保障される保険に加入していても、実際の通院をした日のみが給付金の対象となるため、自宅療養のみでは給付金を受け取ることができないのです。
その点、所得補償保険の場合には、被保険者が身体障害を被り、その直接の結果として就業不能となった場合、入院の有無に関わらず補償の対象となります。
所得補償保険と同様に収入減をカバーする保険として、「就業不能保険」、そして、よく似た名称の「収入保障保険」があります。
これらはどんな保険なのか、所得補償保険との違いなどをお伝えします。
就業不能保険との違い
「就業不能保険」とは、病気やケガで働けない状態(所定の就業不能状態)が長く続いた場合、傷病手当金や障害年金といった公的保障だけでは十分にカバーできない長期の収入減少に備えることができる保険です。
所得補償保険よりも就業不能保険の方が、長期間の収入減に対応しているのが大きな違いになります。就業不能保険も所得補償保険と同様、入院の有無に関わらず補償の対象となります。
収入保障保険との違い
収入保障保険とは、保険の対象者が、万一、死亡もしく高度障害となったときの「残された家族の生活費のため」の保険となります。加入期間中は年齢に関わらず死亡・高度障害に該当した場合3,000万円などという一定の金額が支払われる死亡保険と違い、契約時に定めた対象者に万一があった場合、その対象者が60歳、65歳などに該当する年齢になるまで、ご家族が毎月お給料のように月額の給付金を受け取れる保険です。
つまり40歳で万一のことがあった場合にはその後20年間、55歳で万一の場合には残り5年間、というように、保険期間の満了が近づいていくにつれ、受け取れる額が減っていくため、月々の保険料が安く設定されています。ご家族の生活保障を合理的に備えたい方や、一般の死亡保険では家計を圧迫してしまうという方におすすめできる保険になります。
しかし、あくまでも死亡・高度障害に該当した場合に備える保険となるため、所得補償保険や就業不能保険とは違い、働けない間の収入の補填にはなりません。
所得補償保険の必要性
医療が発達した現代において、長期入院は少なくなりました。また昔に比べるとリハビリや自宅療養を経て社会復帰していく方も増えてきています。
医療技術・科学技術の進歩という点では非常に目を見張るものがありますが、一方でリハビリ中や自宅療養中には以前と同じように働くことができないなど、「元気になるまでの期間」の生活の保障が必要になります。その保障をしてくれるのが所得補償保険になります。
また、所得補償保険は、ケガや病気で働けなくなった場合の所得を補償する保険ですので、新型コロナウイルスも病気の一つとみなされるため、補償の対象となります。
まとめ
所得補償保険・就業不能保険・収入保障保険と、大変よく似た名称の保険ですが、簡単に比較をすると、病気やケガで働けなくなった場合の収入を補填するための保険が、所得補償保険(補償の期間・短)と・就業不能保険(補償の期間・長)であり、万一、死亡や高度障害に該当した場合に残されたご家族に月額給付金を残すことができるのが、収入保障保険です。
所得補償保険 | 就業不能保険 | 収入保障保険 | |
目的 | 病気やケガによる収入減を補償 | 病気やケガによる収入減を補償 | 死亡・高度障害に該当した場合、ご家族を保障 |
補償期間 | 1年~5年など | 数十年~(55~70歳など、契約による) | 数十年~(55~70歳など、契約による) |
※2021年3月現在 詳細は各保険会社により異なります。
また、これらの保険には免責期間があり、就業不能に該当しても免責期間中は保険金がもらえません。この免責期間は比較的短期間(7日間など)であるものと長期間(60~365日間など)のものがあります。
考えたくないことではありますが、昨今のコロナウイルスのような未曾有の感染症が今後も全く発生しないとは限りません。そういった感染症を含む「病気」や「ケガ」での入院や自宅療養など、自分が働けなくなってしまった場合の収入減に備えたい方にとって、所得補償保険は大きな選択肢の1つと言えます。
一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。
文責:ファイナンシャルプランナー 二戸由起子
関連リンク