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タバコを吸わない人は保険料が安くなる?
元喫煙者でも保険料が割引されるのか?

保険に加入するにあたり、気になるのが保険料です。

保険料を割安にする方法として一般的な方法は、付帯サービスや保障内容を低く設定することですが、実は、自分の体の健康状態によって保険料が安くなることがあります。

その一つが、喫煙の有無です。
“タバコを吸う・吸わない”の違いにより、保険料が変わることがあるのです。
非喫煙者は保険会社からの評価が高く、保険料が安くなります!

そこで、今回は、タバコを吸わない人の保険料について紹介していきます。

保険料を抑える方法

生命保険の保険料は年齢が高い人ほど高くなりますが、健康状態も保険料を左右する要因となります。

健康状態に不安がある、年齢が高い、過去に大きな病気をしたことがあるなど、保険料が高くなる要因にはさまざまなものがありますが、共通して言えるのは、病気や死亡のリスクが高くなる要因である、ということです。

この要因が多ければ多いほど、保険料は高くなってしまいます。
反対に、この要因が少なければ、保険料は安くなります。
つまり、保険料を安くするには、病気になるリスクが低いと判断されればいいのです。

とはいえ、若返ることはできないので、年齢の高さはどうすることもできず、また、過去の病歴を取り消すこともできません。
しかし、健康になるよう努めていれば、保険料は安くなる可能性が高いのです。
日常的に運動をしてメタボを解消したり、血圧が高めなら塩分控えめの食事をして血圧を下げたりするだけでも、保険料が安くなる可能性があります。
さらに、最近では喫煙の有無によって保険料に違いが出る商品も登場しています。

このように、健康であれば保険料が安くなる割引制度のことを、「健康体割引」や「優良体割引」といいます。
健康体(優良体)の判断基準は保険会社ごとに異なりますが、一般的には、血圧、BMI、喫煙歴を基準としています。

タバコを吸っていないと保険料は低くなる?

生命保険の広告やパンフレットで、タバコを吸わないことで保険料が安くなることが書かれているものを見たことはありませんか?
このような広告は、「リスク細分型保険」でよく見られます。

リスク細分型といえば自動車保険のイメージがある人もいるかもしれませんが、実は、生命保険でもリスク細分型の保険が登場しているのです。
タバコを吸わないことで、保険料がどのくらい割引かれるかは会社によって異なりますが、割引率が高い場合は30%以上割引になることもあります。
但し、これは男性、かつ、血圧やBMIなど、他の条件をクリアしている場合です。
“男性”と書いたように、実は性別による違いもあり、女性はもともと保険料が安いことが多い代わりに、割引率がやや低い傾向にあります。

このように、保険の中にはタバコを吸わないことで保険料が抑えられるものがありますが、保険料が安くなるのはなぜでしょうか?

何で割引に?

喫煙をしていると、肺がんなどにかかる可能性が高くなる、という話を聞いたことはありませんか?
日本医師会によれば、喫煙者ががんで亡くなる危険性は、男性の場合、喉頭がんが5.5倍、肺がんが4.8倍高くなります。
また、喫煙者が女性の場合にがんで亡くなる可能性は、女性特有のがんである閉経前乳がんが3.9倍、子宮頸がんが2.3倍になるとの報告もあります。
(出典:https://www.med.or.jp/forest/kinen/damage/
このことから分かるように、喫煙は、がんによる死亡リスクを高めるのです。

また、喫煙者は生活習慣病のリスクも高く、動脈硬化のリスクも高いといわれています。
(出典:総合検診42巻(2015)2号P.253-260
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhep/42/2/42_253/_pdf/-char/ja
厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」について
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000172687.pdf

さらには、肺機能が低下することで運動もしづらくなり、メタボリックシンドロームになるリスクも高まるでしょう。
(出典:大阪府立健康科学センター Ⅳ.特定保健指導の実際:効率的な保健指導のポイント 禁煙指導のポイント https://www.niph.go.jp/soshiki/jinzai/koroshoshiryo/tokutei21/keikaku/program/6-3.pdf

喫煙によってさまざまな病気にかかりやすくなり、その病気が原因で死亡する可能性もあります。
(出典:日本内科学会雑誌105巻11号「消化性潰瘍診察ガイドライン2015改訂版第2版」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/105/11/105_2194/_pdf/-char/ja
国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/785.html
日本消化器内視鏡学会雑誌 27(4), 458-463, 1985 胃潰瘍の発生部位および治癒・再発におよぼす喫煙の影響https://www.jstage.jst.go.jp/article/gee1973b/27/4/27_4_458/_pdf
日本歯周病学会会誌59巻(2017)3号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/59/3/59_110/_html/-char/ja/

喫煙していなければ、このような心配は少なくなるでしょう。

つまり、非喫煙者は喫煙者よりも肺がんなどの病気になるリスクが低く、その分、これらの病気で死亡するリスクも低くなるということになります。
(出典:厚生労働省「喫煙の健康影響について」
https://www.mhlw.go.jp/topics/tobacco/kaigi/060810/07.html

このような理由から、非喫煙者の保険料は、喫煙者よりも安く設定しているのです。

割引を受けるために検査が必要?

非喫煙者と判断され、割引を受けるにはまず、自分がタバコを吸っていないということを申告しなければいけません。
そして、その後は検査を受けることになります。
検査といっても、血液検査やレントゲンなどは必要ありません。
唾液を採取して、コチニン検査が行われます。
タバコにはニコチンという成分が含まれていますが、これが人間の体内に入ると、代謝によりコチニンという成分に変化して、体内に残留するのです。
その有無を調べることで、タバコを吸っていないということを証明できます。

検査は、病院で行う必要はありません。
保険会社の人やファイナンシャルプランナーなど、第三者が見ている中で、検査キットを使用して行います。
口の中に唾液を溜めて、検査キットの採取綿棒を加えて2分程度待ち、その後容器に差し込んでキャップを閉めたら、提出します。
それを検査機関に送り、コチニン量などから喫煙の有無を判断するのが一般的な方法です。

尚、自分では喫煙していなくても、普段から喫煙者がいる中で生活しており、副流煙を浴びることが多い人は、コチニン量が多くなることがあります。
その結果、喫煙の反応が出てしまうことがありますが、その場合は、再検査をしてその時に喫煙の反応が出なければ非喫煙とみなされます。
但し、再検査をするかどうかは保険会社によって異なりますので、気になる場合は事前に確認するとよいでしょう。

過去に喫煙していると割引されない?

以前はタバコを吸っていたけれど、今は禁煙している人の場合はどうなるのでしょうか?
保険会社では、一定期間タバコを吸っていないかどうかを判断します。
期間は会社によってさまざまで、多くの場合は過去1年以内としていますが、2年に設定しているところもあります。

禁煙した人は、最低でも1年以上禁煙を続けていないと、「タバコを吸っていない」とは言えないのです。
1年以上経過していれば、コチニン検査で陽性と判断される可能性は低いでしょう。

しかし、1年以上禁煙していても、まれに陽性と判断されることがあります。
特に、検査を受ける数日前までに受動喫煙をしたときは、その可能性が高くなります。
その場合は、日を改めて再検査を希望しましょう。

生命保険への加入を検討している人で、現在タバコを吸っている人は、今からでもタバコをやめてみてはいかがでしょうか?
禁煙して1年以上経過してから保険に申し込めば、保険料が安くなる可能性は高いでしょう。
加入後にタバコをやめたとしても、保険料はそこから安くなりません。
その場合は、プランを変更して再加入する必要があり、手間がかかってしまいます。
そうならないように、まずはタバコをやめてから保険に加入することをおすすめします。

虚偽報告はNG

タバコをやめてから1年以上が経過していないのに、それを告知しなかった場合は、健康状態の告知と同じく、告知義務違反になってしまいます。
それが発覚すると、強制解約になってしまったり、肝心な時に保険金が支払われなくなったりすることもあります。
割引は魅力的ですが、正直に報告しましょう。

まとめ

生命保険で、なぜタバコを吸わないことで保険料が安くなるのか、解説しました。
タバコを吸っている人が、これから生命保険に加入しようと考えているのなら、これをきっかけに禁煙してみるのもいいのではないでしょうか?

タバコは、さまざまな病気のリスクを高める原因にもなります。
健康に気を使うなら、まずタバコを吸わないようにした方がいいでしょう。
それだけで、保険料が30%以上も下がることもあるので、ぜひ禁煙することを検討してみてください。

文責:宮野 岳

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