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保険に入っているのに、支払われない。なぜ?~がん保険~

 

がん保険に加入していても、保険金や給付金を支払ってもらえないケースがあるのをご存知でしょうか?
がん保険の保障範囲をよく確認しないと、もしもの時に給付されないという状況になってしまうかもしれません。
今回は、がん保険で保険金や給付金が支払われない事例を紹介します。

がん保険とは

保険には、さまざまな種類があります。
大きく分けると、主に死亡時に保障を受ける生命保険、病気やけがなどになった時に保障を受ける医療保険、損害が生じた時に保障を受ける損害保険の3種類です。
その中でも細かく分類されているので、同じ種類の保険で同じ保険料を支払っていても、その保障は違ってきます。
今回は、そのうちの医療保険に分類される保険の一つ、がん保険について解説します。

がん保険は読んで字のごとく、がんに特化した保障内容の保険のことです。
世の中にはさまざまな病気がありますが、病名がそのまま保険の名前になっているのは「がん」しかありません。
がんと心疾患、脳卒中をまとめて三大疾病といわれていますが、心疾患保険や脳卒中保険というものは存在していないのです。
なぜ、この病気だけがピックアップされて専用の保険商品になっているのかというと、この病気による死亡者数が特に多く、治療に時間とお金がかかることが珍しくないからです。
そして、入院せずに治療が進められるケースもあるなど、医療保険ではカバーできないこともあります。
がん治療の実態に合った保険商品として、がん保険が登場したのです。

先ほど、がんは三大疾病の一つであると書きましたが、三大疾病は日本人の死因の過半数を占めています。
その中でもがんが死因となっている人は全体の約3割で、三大疾病だけで見ると、がんが死因の人の割合は6割にものぼります。

がんになったからといってすぐに亡くなるわけではありません。
がんと診断されたとき、今後の治療方針やどのような治療を行うか、ということについて、担当医から説明を受けます。
治療・検査のための通院が数カ月で終わるケースもあれば、数年続くケースもあり、その期間は病状やがんのステージによりさまざまです。
また、病状によって治療の頻度や期間が変わることも珍しくありません。
そのため、比較的早い段階で治療が終わるはずが、予想以上に延びてしまうこともあります。
この病気は、基本的に長い時間をかけて治療に取り組むことになると考えた方が良いのです。

がんになっても治療に成功し、元気に過ごしている人もいます。
完治は難しいかもしれませんが、回復の可能性は低いわけでもありません。
がんだと診断されたからといって、治療を諦めることはないのです。
とはいえ、長い期間治療することになると、その分、治療費も多くかかります。
また、初期の段階ではそれまでとあまり変わらずに体を動かせるケースも珍しくなく、通院のみで入院の必要がないことも少なくありません。
しかし、医療保険は、基本的に入院にかかるお金を保障することを目的としています。
入院日数分の保険金が支払われるようになっているので、通院のみで治療をする場合は保障を受けられないケースもあるのです。

さらに、がん治療については日々研究が進められていて、厚生労働省の正式認可をまだ受けていない治療なども数多くあります。
そのような治療を受けようとすると、公的医療保険が使えずに実費負担となることも多いため、患者とその家族にとって大きな負担になってしまいます。

こうした、患者の実態に沿って必要な保障を受けられるようにと作られたのが、がん保険です。
基本的にがん以外の病気には対応していませんが、この病気と確定すると診断給付金を受け取れて、さらには入院した日数による保険金や給付金も受け取れます。
また、未認可の治療のうち、厚生労働省から承認されている先進医療については、その治療費を実費で給付してくれるものもあります。
がんの治療を安心して受けることができるようにと生まれたのが、がん保険なのです。

がん保険が支払われない場合がある?

この保険に加入することで、「たとえがんになっても、お金の面で心配することはないだろう」と安心する人もいるでしょう。
ところが、いざ保険会社に連絡してみると、保険金や給付金を支払えないと言われることがあります。
がんに備えて加入したのに、いざその時になって保険金や給付金が支払われないというのであれば、何のために加入しているのか分かりません。
治療に専念したくても治療を満足に受けられず、諦めなければならないことも出てくるでしょう。

なぜ、このようなことが起きてしまうのでしょうか?
それは、契約した内容や保障内容が、実際の病状や治療内容と一致していないからです。
そうならないために、どんな契約内容か、どんなケースで保険金を受け取れるのかを、予めよく確認しておく必要があります。
その際に注目したいのが、約款に記載された「免責事由」と「支払事由」です。

免責事由に該当したり、支払事由に該当しないとがん保険は給付されない

約款とは、保険契約の際に受け取る冊子のことです。
現在はCD-ROMで配布されることもあるなどペーパーレス化が進んでいますが、約款には保険の契約内容が詳しく書かれています。
先ほども書いたように、約款には「免責事由」と「支払事由」という項目が記載されています。

免責事由とは、その名のとおり、保険が保障の責任を免れる事由のことを意味しています。
もしも免責事由に該当すると、保険金や給付金は給付されないので注意が必要です。
代表的な免責事由として挙げられるものの中に、「告知義務違反」があります。

告知義務とは、保険を申し込む際に、過去の入院歴、病歴から現在の健康状態などを報告することですが、病歴などを故意に報告しなかった、あるいはうっかりして忘れていた病歴などがあった場合、それを理由に契約が解除されることもあります。
このことも、免責事由として約款に書かれていますので、きちんと目を通しておきましょう。
解約時にお金が戻って来ないタイプの保険であれば、戻って来るはずのものでも、告知義務違反が悪質なものと判断された場合は、そのお金を受け取れない可能性があるのです。
契約の際は、告知漏れがないか、よく確認してから契約しましょう。

また、がん保険で時折起こるのが、待機期間中にがんが見つかるケースです。
保険には、契約してからおよそ90日の待機期間があります。
待機期間とはつまり免責となる期間のことで、この期間中に加入者ががんと診断された場合、保険金や給付金を支払わなくても良い、という決まりがあるのです。
これも、約款の免責事由に書かれているものです。

がん保険に申し込んだ後、現在の健康状態や過去の病歴などの告知を行う、健康診断を受ける、初回の保険料を支払うという、「申し込み」「告知(健康診断)」「初回保険料の支払い」の3つが全て完了した時点で正式な契約が成立するのですが、そこから90日間の待機期間がスタートします。
加入時の健康診断では何もなかったのに、正式契約から1カ月後の会社の健康診断で見つかった、というケースでは、保険金や給付金が支払われません。
このようなことが起こる可能性として、保険を切り替えたときが考えられます。
保険の切り替えの際は、そこから再び待機期間が始まるので注意しましょう。

免責事由として、保険料の支払いを滞納しているケースも挙げられます。
この場合、保険金や給付金は支払われません。
もちろん、支払いが滞ったらすぐに解約、とはなりませんが、月払いなら基本的にその翌月末で契約は失効してしまいます。
特に、保険料の支払いを自動引き落としにしている場合は、残高不足に注意しましょう。
多くの場合は3年以内に手続きをして、滞納した保険料や利息を一括で支払えば契約を復活させることができますが、その際は再度健康診断を受けて病歴を報告しなくてはいけません。
また、90日の待機期間も再び発生しますので、保険料が据え置きになるという点以外は新規契約と同じです。

このように、免責事由に該当するとがん保険は支払われませんが、それ以外に支払われないケースとして挙げられるのが、支払事由に該当しない場合です。
保険金や給付金が支払われるのは、約款に記載された支払事由に該当したときです。
つまり、支払事由に該当しなければ、保障の対象外ということで保険金や給付金は支払われません。

がん保険で支払事由に該当しない場合として気を付けなければいけないのが、「上皮内新生物」です。
上皮内新生物とは、臓器の表面を覆う上皮内にできる初期段階のがんで、適切な治療を行うことで、転移や再発の可能性はほぼ無くなるといわれています。

一方、「悪性新生物」というがんもあり、こちらは上皮内新生物とは違い、がんが上皮を越えて浸潤しているもののことをいいます。
転移したり再発したりするがんは、この悪性新生物のことを指しています。
実は、がん保険の中には、悪性新生物と上皮内新生物とを区別し、保障に違いを設けているものもあるので注意が必要です。
その場合、悪性新生物を保障の対象とする一方で、上皮内新生物は保障の対象外としていたり、上皮内新生物を保障の対象としていても、診断給付金や手術給付金などの保障の額が悪性新生物と比べて少ない、といった違いがあります。
上皮内新生物が保障の対象外のがん保険であれば、上皮内新生物と診断されると支払事由に該当しないことになり、保障されません。

他にも、がん保険の支払事由に該当しないケースとして、自由診療よる治療があげられます。

がん保険の中には、公的医療保険が適用される標準治療や、診察や検査などに公的医療保険が適用される先進医療保険診療については保障の対象としていても、未承認薬など公的医療保険の適用外となっている自由診療は、保障の対象外としているものもあります。
このようながん保険の場合、自由診療は支払事由に該当しないため、保障されません。

このように、さまざまな理由からがん保険が支払われないケースがあります。
がん保険に入ってさえいれば、がんで入院・手術をした際に必ず保険金や給付金が支払われると、つい考えてしまいますが、それに当てはまらない事例もあることを覚えておきましょう。

給付金の支払い条件にも要注意

がんの治療のために、通院はもちろん、場合によっては手術を受けたり入院したりすることもあります。
その際に発生する諸費用をカバーするべく、がん保険にはさまざまな保険金や給付金があります。
ところが、中には保険金や給付金が支払われない、あるいは、支払われても少額だったりすることがあるのです。

がん保険の保険金や給付金の中で代表的なものが、診断給付金です。
その名の通り、がんと診断された時に給付される一時金で、1回だけ給付されるものや、何度か給付されるものがあり、契約によって給付の回数が異なります。
何度か給付される場合でも、前回とは違う部位で発見された場合に限る、という条件や、1年間の回数制限、全体的な回数の制限など条件が付けられているのが一般的です。

また、先ほど記載した通り保障範囲にも違いがあり、がんの2つのタイプである「悪性新生物」と「上皮内新生物」とで、保障内容に差をつけていないものと、差をつけているものがあります。
差をつけているものの場合、初期のがんである「上皮内新生物」については、給付される診断給付金や手術給付金の額が「悪性新生物」よりも少なかったり、支払われなかったりするものもあるのです。

この他にも、がんで入院した場合に給付される入院給付金については、通常、治療目的の入院に対して支払われます。
そのため、検査入院の場合は、基本的に給付対象となりません。

数ある保険金や給付金の中でも特に注意したいのが、通院給付金です。
通院給付金は、給付の条件の中に入院が入っていることがあります。
上記のケースの場合、一般的に、「最低〇日以上」という入院日数に関する条件が付随しています。

実は、10年ほど前までのがん保険については、通院給付金の支払条件として、入院が必要なものが多くありました。
というのも、この頃は、入院したうえで手術する、という形ががん治療の主流だったからです。
しかし、現在はがん治療も進化し、入院の必要がなく、通院しながら受けられる治療法も出てきています。
その代表が、放射線治療です。

最近のがん保険には、入院不要の放射線治療に対してもカバーした通院給付金が盛り込まれたものもありますが、10年以上前に契約したものの場合は、通院して行うことがほとんどの放射線治療に対し、保険金や給付金が支払われない可能性があるのです。
そのため、10年以上前に加入したがん保険の場合には、通院給付金が盛り込まれていても要注意です。
前提として、入院が必要である可能性があります。
もしそうであれば、決められた日数以上の入院をした後の通院治療、または入院前や後の通院治療に対して通院給付金が支払われる契約のため、放射線治療のように、通院しながら受けられる治療法には支払われません。

このように、がん保険の保険金や給付金は、給付にあたり種々の条件が定められています。
がんに罹ったからといって、必ず支払われるとは限りません。
どのような条件があるか、しっかり確認することが大切です。

がん保険の契約内容はよく確認を

保険の契約をしていても、契約内容や状況によっては保険金や給付金が支払われないこともあります。
自分がどのような時に備えて加入しておきたいのか、契約の前にしっかりと検討しなければいけません。

そのためにも、契約内容はよく確認してから契約するようにしましょう。
たとえ契約時にその説明を受けていなかったとしても、約款に書いてあれば説明を受けていないことを証明するのは難しくなります。
約款を確認するのは時間がかかりますが、自分と家族の将来のためだと思って、契約前に内容をしっかりと読んでから契約しましょう。

まとめ

がんになった時に備えてがん保険に加入したのに、いざそうなった時に保険金や給付金が支払われない事態に陥ったら、加入の意味がなくなってしまいます。
なぜ支払われないのか、それを防ぐにはどうしたらいいのか、ということを予め確認しておきましょう。
そして、保険の契約内容をよく読んでください。
契約内容によっては、保険の乗り換えも検討してみましょう。

文責:宮野 岳

 

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