いざという時のお金の遺し方は大事です。
いざという時に必要な手続きや書類など、自分の経験からお話しさせていただきます。
家族が亡くなった時の手続きは本当に大変です。
わたくし事ではございますが、先日父が亡くなりました。
高齢とはいえ、これまで何の持病もなく突然の事だったので、家族一同ただ茫然とするばかりでした。
それでも何とか役所への死亡届けと葬儀の手配が終わったころ、クレジットカード会社から1通の利用明細書が届きました。それを見て、はたと「手続きしなくては!」と思い立ちました。
まずはクレジットカード会社へ退会の連絡。携帯電話の解約。公共料金の引き落とし先の変更。このあたりまでは比較的スムーズに手続きが進みました。
次に母の遺族年金の手続き。このあたりから必要書類が増えてきて(死亡届、戸籍謄本、住民票、請求者の所得証明書など)、しかも手続きには年金事務所の予約が必要になります。
書類集めもそうですが、平日でないとできない手続きも多く、仕事を持っている私がそれをするには、有休を取らなければならないので結構大変でした。
そして父が保有していた資産の遺族(相続人)への引き継ぎです。
銀行預金や保険金、不動産(自宅)が主なものですが、銀行に問い合わせると、遺言か遺産分割協議書が必要とのことでした。遺言はないことを伝えると、遺産分割協議書、つまり亡くなった人の資産をどう分けるのか相続人の間で同意した書面が必要とのことでした。
最近はネットにひな型なども紹介されていますが、そのご家庭ごとに事情も違うでしょうし、書面作成には相当な時間がかかります。しかし、それがなければ基本的には銀行預金を引き出すことができないのです。
金融機関によって手続きの仕方は多少異なるとは思いますが、「遺産分割協議書」という書面がなくても、その金融機関に預けている預金の相続人間の分け方が決まっていれば構わないところが大半のようです。もちろんその金融機関所定の書面に必要事項を記入し、被相続人(亡くなった人)の出生から亡くなるまでの戸籍謄本、相続人全員の自署、実印での捺印、印鑑証明書、戸籍謄本が必要となります。
家族が離れて暮らしているとそれぞれ順番に書類を回して、同時に必要な書類ももらってとなりますと、本当に手間と時間がかかります。
それでも銀行預金の引き出しができないと、葬儀の費用や当面の生活費などは遺族が立替えなければなりません。
もしまだ小さなお子さんがいらっしゃるようなご家庭で一家の大黒柱が亡くなったらどんなに大変だろうかと思いました。
死亡保険金のありがたさを痛感しました。
そんな時、確か父が母を受取人にした終身保険に加入していたことを思い出し、保険会社に手続き方法を伺いました。
すると主な必要書類は、保険会社所定の死亡保険金請求書と父の死亡診断書、受取人である母の本人確認書類、父と母のマイナンバーだけでした。
遺産分割協議書は?
いらないのです。なぜならば、死亡保険金は受取人に指定された方の固有の財産であり、それを受け取るために他の相続人の同意は必要ないのです。
必要書類が揃えば数日で(保険会社や保険種類によって異なると思いますが)支払われます。
そんなに多額でなくとも、遺族にとってはとても助かる財産です。
いざという時のために
万が一の時にご家族が困らないよう日頃から貯金をされている方は多いと思います。
でも遺し方を考えないと、ご家族がそれを手にされるまでとても長い時間がかかる場合があります。特に遺産分割協議書は慣れない人が作ろうとすると大変ですし、ご家族間で意見がなかなかまとまらないケースもあると思います。
それでも遺されたご家族の生活は続いていきます。
人間、いつどうなるかなど誰にもわかりません。ご家族のためにと思われる資産の一部は死亡保険金という方法で遺されることをぜひご検討ください。
「死亡保険金はお金に名前を付けて遺してあげること」とよく言われていますが、今回父の手続きがあまりに大変で(実はまだ終わりそうにないのですが)、死亡保険金の手続きがとても簡単であることを今回の経験によって、改めて実感しました。
執筆者:株式会社 エムアイカード 保険担当