家族が知っておきたい一人暮らしの高齢者の実態
もし突然、離れて暮らすご両親がけがや病気をしたら、あなたはどうしますか?治療費は?その後の生活は?実際にこのような問題に遭遇した事例をもとに、いざという時に役に立つ方法をご紹介します。
知っておきたい高齢者の転倒事故
先日、一人暮らしをされている友人のお父さまが頭部にけがをして手術と入院を余儀なくされました。
詳しく話を聞いてみると、自転車に乗っているときに誤って転倒し、頭を打ったとのこと。しかし、けがのことは家族には一言も言わず、そのままにしていたそうです。
数日後、友人がお父さまの自宅を訪れた時、お父さまのろれつが廻っていない(言語障害)ことに気づきました。すぐに病院に行ったところ、医師より、「慢性硬膜血腫」と診断。友人はこの時、初めてお父さまが自転車で転倒したことを聞き、愕然としたそうです。以前は、お父さまは車を運転していそうですが、高齢になり、車の運転はやめ自転車に乗るようになっていたそうです。ただ、高齢ということもあり自転車の運転も心配はしていたそうですが、歩いて行けるところにスーパーもなく仕方ないことだと思っていたと話していました。
幸い、治療の甲斐もあり言語障害は治ったそうで、ひと安心とのことですが、血腫が取りきれなかったため再発のリスクがあるとのことです。
高齢者の治療費負担
お父さまは75歳以上なので、医療費は1割負担(所得により異なります。)。高額療養費制度(年齢や所得により異なります。)の対象でもあり一見、治療費は何とかなりそうですが、加入している保険は死亡保険のみ。つまり、入院関係の雑費(差額ベッド代等)は自腹というわけです。入院日数は3~4日でしたが、年金生活者にしてみれば負担は大きいです。幸い、お父さまには預貯金があったらしく今回はこちらから捻出しました。しかし友人は、この先、他の病気やけがで治療したときの治療費のことを考えると預貯金だけでは不安だ、もっと前に保険に加入することを勧めておけば良かったと後悔していました。
高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、
ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。
毎月の上限額は、加入者が70歳以上かどうかや、健康保険加入者の所得水準によって分けられます。
70歳以上の方には、外来だけの上限額も設けられています。
詳細は以下の表をご参照ください。
<69歳以下の方の上限額>
適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) | |
---|---|---|
ア |
年収約1,160万円〜 |
252,600円+(医療費-842,000円)×1% |
イ |
年収約770〜約1,160万円 |
167,400円+(医療費-558,000円)×1% |
ウ |
年収約370〜約770万円 |
80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
エ |
〜年収約370万円 |
57,600円 |
オ |
住民税非課税者 |
35,400円 |
注)
1つの医療機関等での自己負担(院外処方代含みます。)では上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額医療費の支給対象となります。
<70歳以上の方の上限額(平成29年8月から平成30年7月診療分まで)>
適用区分 | ひと月の上限額(世帯ごと) | ||
---|---|---|---|
外来(個人ごと) | |||
現役並み |
年収約370万円〜 |
57,600円 | 80,100円+(医療費-267,000円)×1% |
一般 |
年収約156万円〜約370万円 |
14,000円 (年間上限14万4千円) |
57,600円 |
住民税 非課税等 |
年収約156万円〜約370万円 |
8,000円 | 24,600円 |
15,000円 |
注)
1つの医療機関等での自己負担(院外処方代含みます。)では上限額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができます。この合算額が上限額を超えれば、高額医療費の支給対象となります。
出典:厚生労働省保険局 高額療養費制度をご利用される皆さまへ(平成29年8月から平成30年7月診療分まで)
無理のない範囲で、もしもの時の準備を!
高齢になれば、けがをしたり、病気になるのは誰にでも起こりうることです。いずれ、誰でも歳を重ね「高齢者」と呼ばれる時がきます。
その時、治療費等で自分自身が困らないため、また家族に迷惑をかけないためにも、ケガや病気になった時の備えがあると安心ですね。
けがの保険は色々なタイプがあり、自転車事故専用の保険もあります。
自分のために、家族のために、元気なうちにご準備されてはいかがでしょうか。
執筆者:株式会社 エムアイカード 保険担当