新型コロナはどんな保険の対象になるの?
世界中で流行している新型コロナウイルス。
日本でも連日感染者の数がニュースなどで報じられており、身近なところにある恐怖として意識している方も多いと思います。
仮に感染した時には隔離措置や入院をすることになり、生活面で不安がありますよね。
通常の傷病であれば多くの場合で保険が適用されますが、コロナウイルスではどのような保険が利用できるのでしょうか。
今回は、新型コロナウイルスで適用できる保険について紹介したいと思います。
目次
新型コロナウイルスに公的保険は使えるの?
病気で病院に行ったとき、公的保険に加入していれば診察料や治療費のうち、自己負担は3割(一部の人は2割、あるいは1割)です。
しかし、中には保険が適用されない治療もあり、先進治療や未認可薬などがそれにあたります。
では、新型コロナウイルスに社会保険は適用されるのでしょうか?
新型コロナウイルスに感染したか否か検査する時は、PCR検査を行います。
以前は、PCR検査は公的保険の対象外で、行政検査として実施されていました。
医師が患者に対し新型コロナウイルスの感染を疑っても、保健所が認めた場合のみPCR検査が行われていたのです。
しかし、2020年3月6日から公的保険が適用され、医師が必要と判断すればPCR検査が行われることになりました。
PCR検査を受けた場合、本来であれば自己負担分の費用が発生するのですが、厚生労働省が検査費用を患者本人に求めないとの方針を定めたため、全額公費負担となり、患者の負担は実質無料となっています。
また、PCR検査が陰性だったとしても、検査費用は公費負担となります。
つまり、PCR検査の結果がどうであれ、患者が費用を負担することはありません。
但し、初診料などは通常通り自己負担となるので、その点には注意が必要です。
また、新型コロナウイルスは指定感染症として認定されています。
そのため、入院が必要と判断された場合も、その費用は公費負担となり自己負担はありません。
但し、今後変更が発生する可能性もあるので、最新の情報については、国や各自治体のホームページなどで確認してください。
さらに、会社員などが業務とは関係のない病気やケガのため、3日以上連続で仕事を休むことになった場合、健康保険からは傷病手当金が支給されます。
実は、新型コロナウイルスも、その支給の対象に含まれています。
そのため、新型コロナウイルスに感染し、療養のために仕事を3日以上連続で休んだ場合は、傷病手当金の支給対象となるのです。
仮に自覚症状が無い場合でも、検査で陽性が判明し、療養のために仕事を3日以上連続で休んでいるのであれば支給されます。
但し、自覚症状がないものの、家族が感染したため濃厚接触者として休暇を取得した場合は対象になりません。
また、勤務先で新型コロナウイルス感染者が出たことで事業所全体が休業になり、仕事を休んだ場合も傷病手当金の対象になりません。
但し、この場合、休業手当の対象にはなります。
新型コロナウイルスに感染した時に保険会社の保険は使える?
保険会社は、新型コロナウイルスに感染した場合、どのような対応をしているのでしょうか?
生命保険と、損害保険における対応を確認してみましょう。
生命保険の保険金・給付金の支払対象に該当する?
ほとんどの生命保険会社では、新型コロナウイルスに対しては通常の疾病と同様に扱っています。
入院した場合は入院給付金が支払われ、通院給付金や手術給付金も同様に支払いの対象となります。
中には、オンライン診療や電話診療などを病院から勧められることもあります。
その場合も通院と同じ扱いになりますが、医師の証明書の提出が必要なので注意しましょう。
尚、PCR検査を受けただけでは保険の対象にはなりません。
新型コロナウイルスが重篤化した結果、死亡してしまった時も、通常の疾病による死亡保険金の支払いの対象となります。
生命保険では、加入してから一定期間は支払われる保険金が削減される「保険金削減支払」という特別条件付契約がありますが、一部の生命保険会社は、保険金削減支払付の契約についても、新型コロナウイルスによって支払い事由に該当した場合は、特別条件を適用せず、削減の対象外にするという対応をしています。
つまり、満額支払いの対象となるのです。
それ以外にも、新型コロナウイルス感染症と診断された場合に見舞金を支払う生命保険会社もあります。
損害保険は適用される?
損害保険では、新型コロナウイルスに感染した場合や新型コロナウイルスの感染拡大による被害を受けた場合はどのような補償があるのでしょうか?
損害保険の対応について、確認してみましょう。
まず、新型コロナウイルスと関係のある損害保険には、海外旅行保険があります。
新型コロナウイルスに感染した場合、この中の、疾病死亡保険、治療・救援費用補償、疾病治療費用補償で対応していました。
但し、これらは支払条件がやや複雑な部分もありました。
なぜなら、保険金の支払いにあたり、責任期間もしくは責任期間終了後72時間以内に発病または治療を開始し、責任期間終了後、30日以内に死亡した場合という条件が付いていたからです。
しかし、新型コロナウイルスは2020年2月1日に指定感染症になりました。
これにより、改定後の支払い条件を、これまでのものから「責任期間終了後30日以内に治療開始した場合(死亡保険の場合は、死亡した場合)に保険金を支払う」という形に内容を変更した損害保険会社も出てきています。
また、新型コロナウイルスに罹患しなくても、その影響により被害を受けてしまった場合の補償についても対応しています。
例えば、海外旅行保険の特約には、費用補償もあります。
費用補償は、出国できず旅行がキャンセルになった、あるいは旅行中に急遽帰国しなければいけなくなった時、旅行費用を補償してくれます。
新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していた旅行に行けなくなった人や、旅行の途中で帰国することになった人は少なくないでしょう。
そのような時に、旅行費用を補償してもらえるのです。
但し、これはあくまでも新型コロナウイルスの感染拡大前に予約していた場合です。
渡航中止や退避勧告が出されてから申し込んだ場合は、補償の対象外になるので気を付けましょう。
さらに、特定感染症補償特約というのもあります。
これは、本来なら一類から三類までに分類される感染症が対象でした。
その分類では、新型コロナウイルスは指定感染症になるため、対象外です。
しかし、多くの保険会社では、この対象に新型コロナウイルスも含めるように商品を改正しています。
旅行やイベントのチケット費用を補償する、少額短期保険のチケット費用補償保険では、契約者の状態によって補償ができるかどうかが変わってきます。
新型コロナウイルスが原因の場合、契約者が感染したためにキャンセルしたら補償対象です。
しかし、感染していないのに感染リスクを恐れて自主的にキャンセルした場合は、補償の対象外となります。
また、主催者側が中止や延期を決定して代金が払い戻された場合は、保険料が返還されます。
新型コロナウイルスは病気の一種なので、ケガや病気で働けないときに所得を補償してくれる所得補償保険でも、補償の対象になります。
どこまで補償してもらえるかは、加入している損害保険の契約内容で大きく違うので、よく確認してみましょう。
今から保険に加入しても保障される?
想像以上に新型コロナウイルスが蔓延したため、不安になっている方も多いでしょう。
今から保険に加入しても、新型コロナウイルスによる被害は保障されるのでしょうか?
加入した時点で健康なら、新型コロナウイルスに感染した時に保障・補償を受けることができます。
但し、加入前に感染リスクが高い行動をしていたり、感染リスクが高い行動をしたことで感染した場合は、対象外となる可能性が高いことを覚えておきましょう。
また、海外旅行保険については、旅行の契約が渡航中止・退避勧告の後ならキャンセルした時の補償を受けられない可能性もあります。
そのため、加入する前に必ず保険のスタッフに相談しておきましょう。
今は、対面で保険の相談がしにくい状況なので、オンラインでの相談も活用してください。
まとめ
新型コロナウイルスの感染者が非常に多くなっていることで、保険会社もそれに対応した保障内容になるよう、規則などを変更しています。
すでに保険に加入している人は、新型コロナウイルスへの対応がどうなっているのか確認しておくことをおすすめします。
今から保険に加入するなら、必ず新型コロナウイルスへの対応についても確認しておきましょう。
感染した場合、感染し入院が伴った場合など、ケースごとに対応が異なるので、それぞれの対応を調べてから加入するといいでしょう。
各社共通の補償対応
・入院時は、陰性か陽性かに関わらず疾病入金給付金の支払い対象になる
・死亡時は、疾病による死亡保険金の請求対象になる
・金融庁の要請により、保険料の払い込みや保険契約の更新などには猶予期間が設けられている
※詳細については、各保険会社にお問い合わせください。
文責:宮野 岳
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